令和1年9月 定例会(第3回) 09月03日

令和1年9月 定例会(第3回) 09月03日

秋山忍 議長 一般質問を続けます。
 3番、眞野義行議員。


 〔3番 眞野 義行

壇〕


眞野 義行

 皆様、こんにちは。議席番号3番、政友クラブ、眞野義行です。通告に基づきまして一般質問をさせていただきます。
 今回の質問は大きく分けて3つです。大問1は、多文化共生について。大問2は、在住外国人の子供たちへの支援についてです。大問3は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたボランティアガイドの育成についてです。
 それでは始めます。まず、大問1、多文化共生についてです。
 私が所属する政友クラブは、7月10日から3日間、韓国視察を行ってきました。韓国とは現在、政治、経済的に非常に関係が悪化していますが、私たちが訪れたときは、現在のような反日、反安倍ポスターは張られておらず、ソウル市明洞のコンビニでも、普通に日本製品の購入ができました。しかし、3日間とも警察の前、銀行の前など至るところでいろいろな種類のデモが行われており、市役所の前にも何かしらの抗議のためのテントが張られていました。
 視察ガイドの話では、韓国国民にとってデモは日常的なことです。いまだに毎週土曜日に、前大統領パク・クネを支援するデモが行われている。最近では、さすがにその数が減ってきましたが、ということだそうです。どうやらデモは、彼らの文化の一つのようです。
 さて、今回の視察先の重立ったところは、仁川国際空港、IRパラダイスシティ、仁川広域市中区、ソウル市庁などでした。その中の、仁川広域市中区への表敬訪問と、ソウル市での行政視察、ソウル市外国人住民及び多文化家族支援基本計画について取り上げます。
 仁川広域市中区は、1988年から成田市と友好都市になっており、この数年途絶えていますが、少年サッカー交流でも盛んでした。中区への表敬訪問は、区長からのこういった言葉で始まりました。日韓関係は政府間の問題、自治体や民間同士では友好を深めていきたい。終始、非常に和やかな雰囲気で交流が進み、最後は中区の日本の町並みを模した観光施設を案内していただきました。
 この町並みは、2007年につくられたものです。高台にある庁舎をおりると、すぐ右側の道路脇に日本の人力車と青年の像、そして通りの向こう側、横断歩道の先には2体の大きな約1メートル50センチくらいですか、招き猫の像が飾ってありました。両方とも5年前、2014年につくられたものです。それくらい親日のまちです。しかし、本当に残念なことに、先ほどの招き猫と人力車の青年の銅像が、撤去されることになってしまいました。その事実は、8月31日、先日、朝鮮日報で報じられました。
 私たち政友クラブのメンバーは、その場所で記念撮影をしたのですが、なくなってしまうのです。ある市民団体による国民請願が大統領府へ出されたからです。悩んだ区長は、結局、撤去を決めてしまいました。この悩んだという表現は、朝鮮日報にそう書かれていたので事実だと思います。私はこう思います。区長は、本当に苦しい判断をされたんだと。それは、実際にお会いしたからわかることです。そうでなかったら、自治体主導の反日行為かと思ってしまったことでしょう。
 ところで、こういったある民族を否定的に捉える国が考える多文化共生とはどういったものか。ソウル市庁への行政視察には、とても興味がありました。しかし、失礼ながら予想以上に、ソウル市の多文化家族支援基本計画には学ぶべきものが多々ありました。例えば、外国人住民人権チームの結成、外国人住民代表者会議による外国人住民の社会参加の支援、ここには日本人女性が入っていました。そして、外国人支援施設の運営、拡大など、共生のための積極的な施策が数多くありました。
 その中でも私が特に興味を持ったものは、移住児童のための多文化統合保育園の拡大、進路・総合サービスの提供、多文化幼少年サッカー教室の運営などの施策でした。民間やボランティア任せでなく、市役所の全庁的な連携体制、多文化家族チームが運営することになっていたのです。残念ながら実際には、国内の不況による若者の失業率の高さから、外国人優遇は逆差別ではないのか、私たちの職が奪われているなどの批判の声も上がり、難しい面もあります。また、積極的に受け入れた移民が、韓国語や文化・伝統を学ぶ前に、自分たちのコミュニティーをつくってしまって、住民トラブルが起きているという話もありました。
 しかし、日本と同様に少子高齢化が深刻な韓国では、優秀な外国人雇用の問題と人口増の問題は解決しなければならない大きな課題なので、積極的な施策で乗り越えたいとおっしゃっていました。現在は移民を認めていない日本ですが、特定技能という新しい在留資格が加わったことにより、これまでの技能実習生の本人だけの問題でなく、その家族、特にその子供たちへの計画的かつ組織的な取り組みは、避けられない重要な課題だと思います。成田市においても、毎年ふえ続ける外国人に対して、国任せではなく自治体主導の具体的な施策が必要だと感じました。
 そこで1つ目の質問です。市には、各部署を超えた外国人との共生についての専属チーム結成のお考えはあるのでしょうか。次に、外国人との共生、つまりは多文化共生の発想のもと、当たり前のことですが、お互いの文化について理解し合うということです。その文化の違いをきちんと理解していないと争いが起きます。同じ文化圏に住んでいれば、意見の食い違いは論争で終わりますが、異なる文化を背景とした意見の食い違いは、戦争につながる可能性があります。だからこそ、多文化共生のためには異文化との相互理解が必要なのです。
 直接その国を訪問できないのであれば、その国の人から情報を得ればいいのです。ただし、同じ国でも、できるだけ複数の人間から。意見や相談があったら、市には窓口がありますよという待ちの姿勢ではなく、積極的に外国人の文化に基づいた考え方を知るための施策が必要だと思います。
 そこで2つ目の質問です。成田市の国際化のために、以前は市長と外国人懇談会が開催されていました。それは非常によい企画でしたが、現在どのようになっているのか教えてください。次に、成田市には日本語教室、日本語学校、国際医療福祉大学、国際福祉専門学校など、数多くの外国人が学ぶ施設があります。そういった施設を訪れると、当然ですが、完全に国際化されています。留学生、技能実習生、在住外国人などなど、本当に様々な事情を背景にした、世界中からやって来た人々が、一生懸命日本語を勉強しています。彼らの生の声を聞き、彼らに日本語を教えているボランティア、教職員の方から話を直接聞くというのは、多文化共生を考える上できわめて大切なことになると思います。大切なことは、実際にその場所に行って、自分の五感で現実を体感してくることです。
 そこで3つ目の質問です。市内にあるこういった教室や学校で働くボランティアや教職員の方々と、市の職員との意見交換や要望を聞く場はあるのでしょうか。また、国際医療福祉大学の副学長、また事務長から、日本語教室のボランティアから、市の窓口業務についての外国人対応がもう少しスムーズにならないか。できたら外国人向けワンストップ窓口があると助かる。せめて翻訳機などが欲しいとのお声を頂戴しています。
 そこで4つ目の質問です。3月議会での答弁の中に、市役所の窓口での多言語対応に備えて、自動翻訳機等についての調査研究を続けているとのことでしたが、その進捗状況について教えてください。
 次に、大問2、在住外国人の子供たちへの支援について質問します。
 私は、7月31日、渋谷にあるNHK本局を訪問しました。目的は、在住外国人の子供たちの教育現場での現状についての聞き取りです。NHKは2017年から「外国人依存ニッポン」というテーマで、日本全国の外国人労働者が抱える問題について丹念に実態調査をし、記事をまとめ、ウエブ上でその問題を訴えています。渋谷の本局だけでなく、全国各地の取材班が調査、編集をしています。私は、これらの特集やコラムを丹念に読んでいくうちに、大いに共感できる部分と疑問に感じる部分が生まれてきました。直接話を聞きに行こう。在住外国人の子供たちが抱える問題、その本質は何なのか。NHK報道部の記者に連絡し、お話を聞けることになりました。
 しかし、その前に、この成田市の現状についての認識がないと、せっかくインタビューに行っても、本当のことが何も得られないと思いました。そこで、市内の日本語教室、日本語学校、日本・インドネシア経済協力事業協会、これは前林小学校の隣にあります。国際医療福祉大学、国際福祉専門学校などを視察し、その活動を見学し、学生、先生、ボランティアの方々にインタビューをしてきました。それらの視察を通してわかったことは、共通して国の政策を当てにせず自分たちでやるという前向きな姿勢です。
 また、そこで学ぶ、留学生、実習生、在住外国人、呼び寄せ家族の子供たちの本当にひたむきな日本語を学ぼうとする姿には感動を覚えました。その視察先の一つ、中央公民館で行われている日本語ボランティア教室についてお話しします。これは市役所職員であったOさんが30年前に立ち上げたものですが、その日の参加者は12名、講師の方も12名、日本語教師の資格を持っている方は1名でしたが、皆さん様々な工夫をされて、レベルに応じて外国人に実践的日本語会話を教えていらっしゃいました。
 その受講生たちに混じって10歳の小学生とその母親が親子で学んでいました。4月に来日したその親子は、日本語がわからず苦労しているのです。また、17歳の少年は、父親に連れられて1年前にやってきたのですが、中学校卒業の年齢でしたので、どこにも居場所はありません。しかも、日本語がほとんどわからない状態です。友達はいないしやることもない。孤独な自分の将来を考えているのか、その目は本当に悲しそうでした。犯罪に走らなければいいけれどもと。
 さて、ほんの一部でありますが、成田に住む外国人の様子を確認してからNHKのインタビューに臨みました。その結果は、受け入れる側の日本人の意識を変えなければならないというものでした。1、日本人は違いに対して寛容ではない。2、いじめを経験しない外国人の子供はいない。3、教師からの差別的な態度を感じている。4、日本語を学ぶ機会が与えられていない。5、日本語を学ぶイコール日本の文化を学ぶということだが、そういった意味で日本語をきちんと教えられていない。6、外国人の子供たちが取り残されている現状、その原因が検証されていない。以上が主な点でした。
 報道部の担当記者は、3年間、全国の在住外国人の問題を追跡し、特にその子供たちの問題を中心に調査をしていました。彼が何人もの子供たちを取材するうちに、国や教師に対してある種の怒りが湧いているようで、冷静ながらも言葉からは熱を感じました。
 私が非常に気になった点は、いじめを経験しない外国の子供はいないという点と、教師からの差別的な態度を感じているという点でした。彼が、15歳のときにインタビューした子供たちが、再び18歳になったときに質問したら、全ての子供は同じ答えをしたそうです。私は、腑に落ちないので全員がですかと再度尋ねると、きっぱりと「はい」と答えました。
 成田市は、教育課程特例校として様々な国からやってこられているALTの先生方を採用してきました。ですから、成田市の子供たちは、見た目の違いでその人間を別の人間として見る感覚はほとんどありません。偏見もなく疎外しようとする雰囲気も出しません。同じ地球人として共生しているかのように見えます。そう思ってきました。しかし、外国人の子供は、実はいじめに遭っていたりするのだろうか。これは不安になりました。
 また、教師による差別的な態度については、私はこのように答えました。「恐らく外国人の子供たちに十分にかかわってあげられなかったことが原因じゃないでしょうか。日本の教師の日常は、想像以上に大変ですから」と言うと、その記者は、「教師が外国人の子供を負担に思っているからじゃないでしょうか」と言いました。この最後の言葉は、実はある意味、真実をついていました。結局1時間30分に及んだインタビューは、国の政策を待っていては外国人の子供の教育問題は解決しない。自治体のアイデア勝負だということが結論になりました。彼らが安心して過ごせるコミュニティーをつくってあげることは、子供の教育という観点から考えると、日本人であろうと外国人であろうと、とても大切なことだと思います。外国人との共生を考える上でも、教育委員会から何かしらの提言があってもいいのではないでしょうか。
 そこで質問します。言葉を身につけるというのは、その国の文化や生活習慣も身につけるということですが、日本語教育補助員18名で小中学校に在籍する約90名の児童生徒の支援を行うことには無理があると思います。さらなる支援策として、具体的な考えはあるのでしょうか。
 最後に、大問3、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたボランティアガイドの育成について質問します。
 成田市には、市民活動やカルチャーサークルとして様々な英会話サークルが存在します。私もこれまで複数の講座に参加しました。特に、国際交流協会で今年から新たに始まった初級英会話講座には、私もお手伝いとして参加させていただいています。成田を国際都市にするというワンイシュー議員の私としては、現在は道案内、お買い物サポート、電車乗りかえなど、市民の皆さんが自信を持って行えるような初級講座に興味があります。そして、オリンピック・パラリンピックで成田市民のおもてなしを世界に発信する、これが目的です。
 さて、こうして様々な活動に参加すると、大人になってから英語で外国人とコミュニケーションをとりたいと思う人が多いことに、改めて気づかされます。しかし、日本人の減点法的発想が、英語を話す邪魔をします。だから、英語が話せないというよりは、失敗を恐れる余り英語を話そうとしないのです。つまりどうしても自信が持てない。
 そこで質問します。語学に自信のある人たちのボランティアガイドではなく、自信がなくてもボランティアになるための第一歩が踏み出せるような企画が必要だと思いますが、そのお考えはありますか。また、具体的な企画としては、東京都には自宅で個人練習ができる外国人おもてなし語学ボランティアwebというeラーニング動画があります。その活用ができれば、初級者であってもボランティアガイドになる可能性が膨らむと思うのですが、いかがでしょうか。
 以上で、私の壇上からの質問を終了します。よろしくお願いします。

秋山忍 議長 小泉市長。
     〔市長 小泉一成君登壇〕

◎市長(小泉一成君) 眞野議員の多文化共生についてのご質問からお答えいたします。
 まず、本市の外国人との共生にかかわる体制についてでありますが、言語や文化、生活習慣を越えて共生できる地域づくりのためには、市政全般においての対応が必要であると考えております。本市におきましても、国が示した外国人材への対応策を具現化していくために、多文化共生の指針の策定を計画しているところでありますが、策定に際しては庁内組織を立ち上げ、全庁的な連携体制で取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、この組織につきましては、指針制定までのものとなりますが、全庁的な連携は、その後も継続、発展させ、外国人に関する諸課題に対しまして、適切に対応してまいります。
 次に、以前開催されていた外国人懇談会についてでありますが、本市においては、平成9年度から平成17年度にかけて、外国人による懇談会を開催し、公募により出席された方々から様々なご意見をいただきましたが、回を重ねる中でメンバーの固定化を招き、開催を見合わせるに至ったものであります。
 現在のところ、外国人のみを対象とした懇談会の開催は予定しておりませんが、インターネットや電子メールが普及した今日においては、市長への手紙や市政モニター事業の活用によって、外国人の方々の意見や提言を気軽にお寄せいただくことができ、迅速な回答も可能になっております。
 次に、外国人が学ぶ市内の学校に勤務する方々との意見交換や、要望を聞くための機会についてでありますが、現在、本市と国際医療福祉大学に在籍する留学生や教職員との間で、交流の機会を設けております。今後もこれらの機会を活用しながら、皆様の声に耳を傾けてまいります。
 次に、市民課の窓口での多言語対応についてでありますが、市民課では、外国人の方が窓口で手続をされる際に、担当職員との意思の疎通を補助するための電話通訳サービスを導入しており、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、タイ語に対応しております。加えて、総務省の外国人住民基本台帳通訳サービスであるナビダイヤルでは、タガログ語、ネパール語、インドネシア語の通訳も可能となっております。また、外国人労働者の受け入れ団体などの支援もあり、市民課窓口での外国人への対応については、現在のところ支障はありませんが、出入国管理法の改正に伴う外国人労働者及びその家族の受け入れ拡大への対応も考えられることから、多言語化への対応については今後の課題と認識しております。
 自動翻訳機につきましては、既に導入した自治体から聞き取りを行ったところ、多言語対応が可能という利点がある反面、使用する用語に専門用語が含まれていると正しく翻訳ができないなどの課題があることも伺っております。加えて、全国的には導入事例も少ないことから、市民課での窓口対応の状況を把握しつつ、自動翻訳機の性能なども考慮しながら、引き続き調査研究をしてまいります。
 次に、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたボランティアガイドの育成についてのご質問にお答えいたします。
 語学に自信がなくてもボランティアになるための第一歩が踏み出せるような企画が必要とのことでありますが、本市では、平成29年度と平成30年度に、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、都市ボランティアを担う人材を育成するとともに、外国人観光客等が安心して滞在できる環境を整えるため、千葉県との共催により、外国人おもてなし語学ボランティア育成講座を開催しました。
 この語学ボランティアの特徴としましては、決まった日時と場所で活動するボランティアではなく、日常生活の中で自主的に活動するボランティアとして、町なかで困っている外国人を見かけた際などに英語で積極的に声をかけ、道案内などの手助けをしていただくもので、東京オリンピック・パラリンピック以降も、継続して活動していただけると考えております。
 本講座は、英語の語学力に応じて、簡単な日常会話ができる方などを対象としたおもてなしコースと、語学力に自信がない方でも受講しやすいように、初級者向けの語学講座を加えたセットコースの2つのコースを設けて開催し、約300人の方々に受講していただきました。さらに、今年度は、東京オリンピック・パラリンピックに向け、競技会場の周辺駅や空港などで交通案内や観光案内などを行っていただく都市ボランティア約300人の方々の面接を6月に終えたところであり、10月から千葉県全体での共通研修、来年2月ころには、市主催の観光案内などを習得していただく研修を行ってまいります。
 東京都のホームページで公開しているeラーニング動画につきましては、外国人おもてなし語学ボランティア育成講座の受講を後押しすることを目的に、誰もがおもてなしの心の一端を気軽に学べるものとなっております。
 本市といたしましても、このようなeラーニング動画については、オリンピック・パラリンピックだけでなく、ボランティアの育成に有効と思われることから、東京都の動画を本市のホームページなどで紹介し、語学力に自信がなくてもボランティアになるための第一歩を踏み出せるよう、後押ししてまいりたいと考えております。
 なお、在住外国人の子供たちへの支援についてのご質問につきましては、教育長よりご答弁申し上げます。

秋山忍 議長 関川教育長。
     〔教育長 関川義雄君登壇〕

◎教育長(関川義雄君) 私からは、在住外国人の子供たちへの支援についてのご質問にお答えいたします。
 日本語の補助について、さらなる支援策として具体的な考えはあるのかとのことでありますが、本市では、日本語支援を必要としている外国籍児童生徒に対応するため、日本語教育補助員を配置しており、本年度はスペイン語、フィリピンのタガログ語、中国語、スリランカのシンハラ語、韓国語、モンゴル語の6言語の日本語教育補助員を18名採用し、小学校14校、中学校7校に派遣し、友達とのコミュニケーションを支援したり、授業における学習の補助を行い、児童生徒が日本での学校生活に早くなれることができるよう取り組んでおります。また、保護者に対しても、学校から家庭へ配付する文書の翻訳や、保護者会、個人面談での通訳などを行い、学校教育への理解を深めていただいております。
 さらに、年度途中に外国籍児童生徒が転入してきた場合など、日本語教育補助員では対応できないときには、有償ボランティアによる支援を行っており、本年度は既に9名の支援員を配置しております。
 今後は、日本語教育補助員の配置とともに、多様な言語に対応するため、翻訳機の導入を検討してまいりますが、他市の導入状況を十分に研究し、外国籍児童生徒の支援の充実に努めてまいります。

秋山忍 議長 眞野議員。


眞野 義行

 それでは、自席から質問させていただきます。小泉市長、関川教育長、どうもありがとうございました。
 それでは1つ目です。多文化共生の指針策定については、大いに期待するところでありますが、要望といたしましては、本市の全庁的な策定委員会には、ぜひ外国人を加えていただきたいと思います。
 私が所属する政友クラブの宇都宮会長は、30年前の1988年には、既に外国人との共生問題を議会で取り上げられており、その中で在留外国人の審議会への参加または意見交換会の開催についての提案をされています。また、例えば近隣の印西市では、2012年に印西市国際化推進懇談会という組織を立ち上げ、国際交流関係者4名、学識経験者2名、公募市民3名、在住外国人3名の計12名で国際化を推進しています。
 さらに、印西市では、外国人市民意識調査も行っています。調査票は、印西市に住む18歳以上の外国人全員に送っています。しかしながら、多文化共生の問題は、むしろ現在成人となっている外国人の問題よりも、呼び寄せ家族の問題、特にその子供たちをどのように日本社会に取り込むか、それが重要課題になっていくと思います。
 私はこう思います。共生についての一番大切な考え方は、外国人の子供たちと日本人の子供たちの未来の共生像、これをどう描くかだと。成田市には、約50名の世界各国からのALTが勤務されています。実際に成田市で生活をし、児童生徒と接しているALTの方々から共生についてのアイデアをいただくことは、極めて貴重な機会になると思います。昨年約70名だった児童生徒が、今年は約90名。日本人の児童生徒、外国人の児童生徒という区別的な発想ではなく、同じ成田市の児童生徒として、少子高齢化に臨む若者を育てるという発想が極めて大切だと思います。
 そこで質問します。他市の事例では、国際化推進懇談会などの構成員に学識経験者や外国人が見受けられますが、本市の新しい多文化共生指針策定委員会に外国人を加えるお考えはありますか。

秋山忍 議長 加瀬林市民生活部長。

◎市民生活部長(加瀬林操君) 多文化共生指針の趣旨といたしましては、行政上の基本的な考え方や目指すべき方向性などを唱えるものでありますため、策定に当たりましては、まずは庁内委員会として本市職員で構成する多文化共生指針策定委員会によって進めてまいりたいと思います。市民の皆様のご意見につきましては、市政モニター制度の活用やパブリックコメントの実施などによりお伺いするほか、外国人の方のご意見につきましても、国際医療福祉大学にご協力いただくなどして、耳を傾けてまいります。

秋山忍 議長 眞野議員。


眞野 義行

 なるほど、ありがとうございました。それでもやはり要望したいです。
 本市職員で構成する組織ということであれば、教育委員会のALTのリーダー2名、これに参加を求めることも可能だと思います。我々日本人と異なる視点・観点を持つ人間が組織に入ることは極めて重要です。今はその予定がないということですが、ぜひ検討していただきたいです。なぜなら彼らが組織に入ることで、マイナスになることは一つもありません。
 質問を続けます。千葉市では、2005年に始まった外国人市民懇談会を継続的に続けています。2018年に行われた座談会のテーマは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで訪れる外国人観光客には、どのようなおもてなしがよいかでした。3グループに分かれての意見交換会及び発表という形式です。
 これまでのテーマの中には、千葉市多文化共生のまちづくり指針について、多文化共生社会推進のための日本語学習支援のあり方、外国人にごみ出しのルール、有料化を知ってもらう効果的な周知方法などがありました。参加人数は最大で17名、集まりが悪いときがありながらも継続をさせています。
 成田市も様々な理由から、市長との懇談会がなくなったということはわかりますが、なくなってから14年たっています。多文化共生社会に対応するには、これからの成田市がどうあるべきかについて、直接、在住外国人の意見を聞く場所の設定は必要だと思います。
 そこで質問します。外国人が増加傾向にある本市においても、提言を受けるだけでなく直接顔を合わせる懇談会の機会を設けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

秋山忍 議長 加瀬林市民生活部長。

◎市民生活部長(加瀬林操君) 行政と外国人の懇談につきましては、多文化共生指針の策定の中であわせて検討してまいりたいと思います。

秋山忍 議長 眞野議員。


眞野 義行

 わかりました。検討されるということですから、その結果を楽しみにしています。
 続けます。先ほどありました国際医療福祉大学に来られている留学生の方々からも意見を伺うとありましたが、そこに来られている留学生の方々は、はっきり言いますと、かなり優秀な学生たちです。私は、5月末に医学部の英語による授業を参観し、その後、教授のお話を聞かせていただきました。約120名の学生がレベル4つに分けられ、そのうちの1番のクラスと4番のクラスに参加させていただきました。外国人留学生の多くは、1番上位のクラスに在籍しており、彼らは極めて優秀で、授業後も教授に対して質問攻めをしていました。
 そういった優秀な留学生の話を聞いているだけでは、今成田に住んでいる外国人の本当の姿は見えないんじゃないでしょうか。彼らは、日本には住んでいますが、学生ということで生活感のない意見になる可能性があります。市内には、中央公民館、加良部公民館、三里塚コミュニティセンターなど、それぞれの公民館で独立した日本語教室が開催されています。その現場に行って、ボランティアの方々の話を聞いたり、実際に学んでいる外国人の方々の話を聞くのは、多文化共生の本質を見きわめる上で極めて大切だと思います。
 そこで質問します。市の職員が、こういった日本語教室でボランティアとして活動していらっしゃる方々の現場を視察したり、学生たちの話を聞くような予定がありますか。

秋山忍 議長 加瀬林市民生活部長。

◎市民生活部長(加瀬林操君) 現在のところ予定はありませんが、今後本市においても外国人の増加が予想されますので、多文化共生指針を策定していく中で、皆様のお話をお伺いしたい状況が出てきた場合には、そうした訪問も検討させていただきます。

秋山忍 議長 眞野議員。


眞野 義行

 わかりました。こちらも検討ということですので、その進捗状況等については、この後の議会でも継続質問させていただきます。
 あわせて要望ですが、実際に公民館等で行われているボランティアによる日本語教室の様子の見学及び広報紙等での情宣活動にも力を入れていただきたい。活動されているボランティアの方々の中には、場所の提供はあるけれども、現場に一度も視察に来られていないので、丸投げ感があるという声も聞きました。年に一度でもよいので、公民館職員以外の市職員の方が訪問することで、ボランティアの方々のモチベーションアップにもつながると思います。
 お話を伺う機会を設けるだけでなく、こちらから出向くという行為は、市の行政と市民の皆さんの距離を縮めるために大いに役立つと考えます。人手不足の中、本当に大変だとは思いますし、全てのボランティア活動に顔を出すことなど現実的には無理です。しかし、多文化共生指針、そういった新しい委員会を立ち上げるということであれば、多文化共生の現場に出向いて、その状況を自分の五感で体感してこられることは必要だと思います。期待します。
 続けます。次に、大問2、在住外国人の子供たちへの支援についてのご答弁ですが、これは平成30年、宇都宮議員の一般質問、平成31年、飯島議員の総括質疑、平成31年、油田議員、大倉議員、雨宮議員、会津議員、令和元年、大和議員、そして私の一般質問に対する市長及び教育長答弁の内容とほとんど変わりません。もちろん予算をふやし、人的な増加は見られますが、内容に変化がありません。
 これだけ多くの議員の方々が継続的に外国人の労働問題、日常生活の諸問題、そして子供たちの教育問題を取り上げているのです。非常に重大な問題です。特に、外国人の子供と教育の問題は本当に深刻です。もし彼らが日本に定住した場合、かけがえのない戦力となってくれる可能性があります。少子高齢化の進む日本にとっては貴重な存在です。しかし、教育を誤れば、自分たちのコミュニティーをつくり、住民とのトラブルが発生する危険性も含んでいます。先ほどの韓国、移民大国ドイツ、そういった国々が例になっています。日本語教育補助員の増員や翻訳機の検討では、対応できなくなることは明白です。なぜなら、今やっていることは教育ではないからです。それでも翻訳機はないよりあったほうがいいと思います。
 そこで質問です。翻訳機の検討ということですが、どういった形のものをお考えでしょうか。また、6月答弁にもありましたが、その選定に当たっての進捗状況を教えてください。

秋山忍 議長 神山教育部長。

◎教育部長(神山金男君) 翻訳機は、校外学習などで活用できることや多言語に対応できるものであることが必要であると考えます。そのため現時点では、Wⅰ-Fⅰモデルの翻訳機や翻訳ソフトではなく、SIMカードを活用した持ち運びができ、教室外や学校外でも多言語に対応できる翻訳機の導入を考えておりますが、他市の導入状況を調査いたしまして、引き続き検討してまいります。

秋山忍 議長 眞野議員。


眞野 義行

 ありがとうございました。
 次に、ご答弁の中に、外国籍児童生徒が日本での学校生活に早くなれることができるように、支援の充実を努めてまいりますという趣旨の発言がありました。しかし、少なくとも中学校現場では、外国人生徒担任の教師から支援されているという声は、余り聞かれません。
 例えば、私の学校の外国人の生徒は、5日間のうち3日間は何の支援も受けられていません。しかも学力的にも厳しく、数学の授業にもついていけません。だから日本語が少しでもわかれば友達ができるのにかわいそうだけれども、何の支援もできていません。
 また、別の方からは、私の学校の子供たちは、世界10カ国からやってきているので、とても支援を受けているとは言えず、毎年困っています。学校に来なくなる生徒もいます。また、定期試験の対応ができない。そもそも日本語が読めないので、英語圏の生徒ですら英語のテストにきちんと対応できない。その結果、評価もできない。すると高校進学の道が極めて難しくなる。
 ただでさえ多忙な教師の業務に、日本語支援を必要とする児童生徒が加わることの問題は深刻です。どうしても彼らの対応の優先順位が下がってしまいます。これが彼らに、先ほどNHKのインタビューで答えたと思うんですが、彼らに担任に差別された、無視されたという誤解を与えているんではないかと思います。
 外国人の子供だから仕方がないとは誰も思っていませんが、多忙な教師の日常、特に中学3年生を受け持つ担任にとって、この問題は重大です。1週間に2日しか来ない日本語教育補助員では対応できないんです。自分で学べる優秀な外国人も、まれにはいます。90人の児童生徒に対して、日本語教育補助員18名と支援員9名でばらばらに行うより、学校として成立させたほうが、はるかに効率がよく、何より言葉の壁に苦しむ子供たちが、安心して過ごせる学校ができます。公立の日本語学校を設立し、外国人の子供たちを受け入れるモデル都市になることは、国際都市成田にとって必要なことだと思います。
 そこで、最後の質問をします。以上のような状況を踏まえ、全国に先駆けて公立の児童生徒のための日本語学校をつくっていくお考えはおありですか。

秋山忍 議長 神山教育部長。

◎教育部長(神山金男君) 本市独自の日本語学校をつくることにつきましては、大変困難であると考えております。今後どのような支援が効果的か、調査研究をしてまいりたいと考えております。

秋山忍 議長 眞野議員。


眞野 義行

 ありがとうございました。
 大変困難という言葉で終わってしまいましたが、大変困難であろうというのは、私も非常によくわかっていることであります。ただ、その困難の内容について、一つ一つ細かく検証していかないと、この問題は解決しないんじゃないかと思います。もし現場の大変さをわかっていらっしゃるのであれば、日本語で苦労している子供たちプラス教師を救うための検討はぜひ必要ではないでしょうか。
 最後に、横浜市立飯田北いちょう小学校の取り組みを簡単に紹介します。多文化共生教育に先進的に取り組んでいます。横浜市教育委員会が、飯田北いちょう小学校内に設置した飯田北いちょう日本語教室では、専門の日本語講師による日本語の初期指導や生活適応指導、国際教室担当教員による日本語指導や教科指導、日本語支援非常勤教諭と外国語補助指導員、母言語支援者による言葉の支援等、児童の日本語力に応じたきめ細やかな指導が行われています。
 さらに、地元自治会、子ども会、学童クラブ、青少年育成協議会、放課後キッズクラブ、さらには児童の日本語指導や学習支援に携わっている地域のボランティア団体等との日常的、継続的な連携、協働を推進したり、地域行事に積極的に参加するなどして、各団体と顔の見える関係をつくり、多方面から児童を取り巻くネットワークづくりを進めています。
 どうでしょうか、横浜市は人口375万人の都市ですから、それと比べるのは非常識であるかもしれませんが、しかし、教育委員会も成田市が新たに立ち上げる多文化共生指針策定委員会に加わると思います。大変困難という一言で、この問題に前向きに取り組まないのは、余りにも寂しい話だと思います。だって、国際都市成田にある教育委員会なのですから。
 やらないための議論に時間を使い、結果、前年度踏襲というのは、日本人のあしき文化です。本当に時間の無駄です。今まではそんなことはやってない、ほかでそんなことはやってない。これは、決してネガティブな否定的な言葉ではありません。今までやってないからチャンスで、ほかでやってないからチャンスで、考え方一つでピンチはチャンスになると思います。多文化共生、これを目指した策定委員会には大いに期待しています。
 それでは、私の一般質問を終了いたします。ありがとうございました。
---------------------------------------