15 3月 令和3年3月 定例会(第1回) 03月02日
眞野義行
皆さん、こんにちは。議席番号3番、政友クラブ、眞野義行です。通告に基づきまして、一般質問をさせていただきます。なお、議長の許可を得まして、資料を用意しております。後ほど説明いたします。テーマは、スマートシティ推進についてです。それでは始めます。
2月17日に成田市議会初のオンライン研修会が開催されました。テーマは「今の時代における議員の役割」。そのお話の中で、講師をしていただいた大山教授から、議員のみならず日本社会全体のICT環境整備が遅れていて、苦手意識がある。
私は、その原因の一つに、日本中にはびこる英語風味の片仮名の氾濫があると思っています。適当な省略と純日本語発音。それらは当然ICTの世界にもあふれています。ハード、ソフト、アプリ、アカウント、サーバー、クラウド。ハード、ソフト、アプリなどは、幾ら頑張って発音しても、正しく意味は伝わりません。アカウント、サーバーは通じますが、クラウドはtheをつけないとICT用語になりません。全く困ったものです。
ところで、最近よく耳にする、このクラウドという言葉、ここで大変失礼なんですが、皆さんに質問させていただきます。一般質問ではありません。これは一体何でしょう。
〔「雲」と呼ぶ者あり〕
眞野義行
ありがとうございました、お答えを。私には今はっきりその正体が見えます。皆さんの頭の中に、頭上に、もくもくと浮かんでいる、まさにクラウド、雲だと思います。
ここからは私独自の解釈で話が進むので、多少無理がありますが、スマートシティ解説のためとご容赦ください。
さて、このクラウドは、頭蓋骨というハードの中に入っている脳というソフトから湧いて出てくるものなので、自分の頭上にしか存在しないし、ほかの人には見えません。その見えない雲の中にある情報を人に伝えるために言葉が生まれました。言葉という通信によって、一緒にいる仲間のクラウドが大きくなりました。
遠くの人にも雲の中身を伝え、記録に残すために文字が必要になり、もっと遠くの人と時間をかけずに情報交換するために電子が必要になりました。電子という通信によって、仲間のクラウドはとても大きなものになりました。そのおかげで、仲間内での情報交換、知識の共有が素早く、楽になりました。
ところが、ここで問題が発生します。蓄積された情報量があまりにも多く、そのため、人間による情報解析が難しくなってきたのです。また、その仲間内の知識や情報共有だけが便利に進化したため、ほかの仲間との情報交換がおろそかになってしまったのです。まさに縦割り組織です。
そこで、それぞれの集団が頭上に持っているクラウドの、もくもくもくと出た、ここを切って空に返した。そうすると、空を覆い尽くすほどの巨大なクラウドが存在しました。これを、現代社会ではビッグデータと呼ぶようになっています。
こうなってくると、もはや人間がアクセスして情報を探すのは困難になり、AI、人工知能が自分の判断で最適な情報を選択し、ロボットなどを通じてフィードバックすることが求められるようになってきました。つまり、物同士の情報交換、人間が介在しないということです。物同士の情報交換によって、人間の暮らしが快適になる時代がやってきたのです。
ここで改めて、皆さんに質問させていただきます。すみません、何回も。家の中で、最も稼働している家電は何でしょうか。
〔「冷蔵庫」と呼ぶ者あり〕
眞野義行
ありがとうございます。正解でございます。冷蔵庫であります。
例えばこんな冷蔵庫があったら、生活が便利になるんじゃないでしょうか。
スマホと連動させて、冷蔵庫に近所のスーパーを登録しておく。そうすると、スーパーから、今日は何々のスーパーが特売日ですよと、何々大安売りですよと。ああ、じゃ、それでメニューどうしましょうか。こんなメニューがありますよ。じゃ、それでお願いします。そうすると、電子レンジやIH圧力鍋というんですかね、これに冷蔵庫が指令を出して、もう調理の設定ボタンを押さないでも、材料を入れれば勝手にやってくれると。これつまり、物同士の情報交換が行われているんです。
それが、例えばお年寄りの見守りにも使える。冷蔵庫は一番開閉の数が多いですから、開閉の数の多さによって、自分の、孤独に住まわれている保護者の方、地域の方、親の方、この方たちの安否確認ができる。また、子供が親より先に帰ったときに、おやつが冷蔵庫にありますよと冷蔵庫が教えてくれる。こういった冷蔵庫を中心にした家電の物同士のインターネットができれば、情報交換が、すごく便利になると思います。
実際にこれは、今日お帰りになったらすぐ購入することができます。もう皆さんもご存じだと思いますけれども、シャープなんかでAI家電ということで実際にもう販売していますので、つまり、ここまで時代が来ているということです。
AIドローン、ドローンについては、脱炭素を目指した、20分ぐらいでしたら中国ではもう既に、人を2人乗せて遊覧飛行を、実証実験を超えたところでやっています。現在、世界で200社がこのドローン開発にしのぎを削っています。
こういったICT利活用による脱炭素社会への挑戦が既に始まっています。
さて、この世界情勢の下、国土交通省は2018年に、スマートシティとは都市の抱える諸課題、環境、エネルギー、医療・健康、交通、通信、教育に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、計画、整備、管理・運営等が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区と定義しました。簡単に言えば、まち全体がネットワークでつながり、居住者が便利に安心して暮らせるシステムが張り巡らされた都市や地区と言えます。急速な高齢化と多発する都市型災害という課題解決に向けても注目を集めています。
スマートシティという言葉が社会に浸透し始めた2010年前後には、エネルギーをはじめとして、特定分野を対象とした個別分野特化型の手法を用いて成立した取組が多く行われてきました。この個別分野特化型スマートシティ構想については、成田市も7年前の2014年、持続可能なまちづくり推進調査報告書の中で、成田型スマートシティという表現で取り上げています。
その一部を紹介します。東日本大震災以後、市民の環境・エネルギー問題に対する関心が高まっており、とりわけ、過度の原子力発電への依存に対する不安を背景に、未利用・再生可能エネルギーに期待する声が多くなっています。本市は、こうした市民の期待や時代の要請に応えられるよう、民間企業や周辺自治体との連携を図りつつ、地域のエネルギーミックスの最適化とともに環境・エネルギー関連の産業振興に取り組みます。また、スマートシティの推進に伴って整備の進展が期待できるICTネットワークの双方向性及び即時性を活用して、市民の健康なライフスタイルの実現を支援します。
そして、本市がスマートシティ推進のために示した戦略プランは2つ。エネルギーの地産地消の推進と、ICTネットワークを活用した市民の健康増進。既に形になっているものもありますが、改めてお聞きします。
1つ目、エネルギーの地産地消の推進についての現状と今後の展望について。2つ目、ICTネットワークを活用した市民の健康増進についての現状と今後の展望について。
さて、このスマートシティの考え方は、交通という視点から、次のような諸問題を解決するためにも、極めて有効と考えられています。1、持続可能で地域の実情に応じた、めり張りのある地域公共交通網の形成。2、超高齢化社会に対応した安全・安心・快適な外出環境の確保。3、交通モード間の連携による、地域公共交通の利便性向上。4、観光振興との連携による観光客の増加。
これら都市が抱える交通に関する諸問題を、ICTネットワークを活用して解決する考え方をMaaSと呼びます。Mobility as a Serviceの略で、直訳すると、サービスによる移動です。あらゆる公共交通機関やライドシェア、シェアサイクルといったサービスをつなぎ目なしに結びつけ、マイカー以外の交通手段による移動を、一つのサービスとして捉える概念のことを指します。例えば、目的地に行くためのルートや交通手段の検索、公共交通機関の料金支払い、そして、レンタカーの予約、決済をオンライン上でまとめて行えるようになります。
このようなMaaSのシステムが完成すれば、移動効率が向上し、クラウド上のビッグデータの利用で、最適な交通手段の組合せの提案が自動で行われます。最適な交通機関の整備が進めば、マイカー移動が減少し、都市部では交通渋滞の緩和ができ、地方では利用者が増え、交通サービスの継続が可能になります。観光並びに高齢者輸送手段のオンデマンド交通でも、現状よりもさらに利便性が高い交通機関が生まれることが期待されています。
そこで質問です。世界でもまだその取組が始まったばかりのMaaSですが、市ではどのようにお考えですか。また、オンデマンド交通において、ICTを活用した取組の検討はありますか。
さて、このMaaSというシステムを実現させるために、都市計画課、高齢者福祉課、交通防犯課、観光プロモーション課など複数の課の協力が必要になります。冒頭で取り上げた2014年成田市持続可能なまちづくり推進調査報告書の中、第4章、持続可能なまちづくりの実現に向けてについては、このように書かれています。
1、“オール成田”による推進体制づくり。2、広域的なネットワークづくり。3、組織横断的かつフレキシブルな庁内体制づくりということで、市役所内部はもとより、市民、民間企業、成田空港、成田山新勝寺、関連団体、さらには周辺自治体や国内外の地域など、あらゆる者との協力・連携体制を築くことにより持続可能なまちづくりが実現できると。
あれから7年。NARITAみらいプラン第2期基本計画には、「新たにSDGsの理念を取り入れ、各施策に対応したゴールを関連付けることで、気候変動や貧困などの地球規模の課題から身近な地域課題の解決に向け、市民と行政がともに取り組んでいくための意識醸成を図り、持続可能なまちづくりの実現を目指していきます。」とあります。
残念ながら、スマートシティという言葉はなくなってしまいましたが、気候変動や貧困など、地球規模の課題から身近な地域課題の解決に向かうためには、7年前にうたっていた産官学民連携のオール成田による推進体制、組織横断的かつフレキシブルな庁内体制づくりは、スマートシティ推進に必要不可欠なものになります。従来型の個別分野特化型から、分野横断型への進化は、絶対に成し遂げなければならないことなのです。
このような社会情勢の中、吉倉地区周辺まちづくり事業が計画され、2020年4月版まちづくり基本構想図も提示されました。
そこで質問します。吉倉地区周辺まちづくりには、スマートシティの概念が生かされるべきだと思いますが、市はどのように考えていますか。
さて、このスマートシティ推進の肝になるものは、それを進化させる人です。ICTネットワークを人の暮らしにどう生かすのか、まだ見ぬ新しい社会を構築するために、人の創造力が求められています。この創造力を身につけるための重要な方法の一つに読書があります。
2021年3月成田市立図書館サービス計画(素案)、小学生・中学生の現状と課題にも、次のような記述があります。生涯にわたる読書習慣の形成のためには、中学生までの取組が重要といわれています。「千葉県子どもの読書活動推進計画」によると、不読率は、学年が上がるにつれて増えているという調査結果があります。
不読率を改善するには、もちろん図書館という建物そのものの環境整備は必須ですが、これからはICTネットワーク利用による電子書籍導入も必要不可欠なものになっていきます。この話題については、昨日も大倉議員のほうからご提案がありまして、ご回答いただいたんですけれども、重複してしまいますが、続けます。
ところで、読書といえばフィンランド。世界で最も図書館を積極的に利用する国民で、学力世界一の称号も獲得したこともあります。その首都ヘルシンキにある市立図書館オーディ。2019年に成田市議員団海外視察で訪問したこの図書館は、以前伊藤議員も本会議で取り上げられていましたが、図書館という概念を覆すようなつくりでした。
そこで私は、このオーディにメールをしました。1、フィンランド人にとって図書館とは何か。2、電子図書の普及率はどのような状況か。3、新型コロナが図書館に与えた影響はどのようなものか。私が驚いたのは、何と私がこのメールを、時差は7時間ありますが、往復で相殺されますが、24時間で返信が来ました。これ、遠くて見えませんが、大体フォント12で英文A4、2枚びっちり、こんな感じで。
もう僅か24時間で返信が届くという、このサービスの速さ。これは私は非常に感動して、ますますフィンランドが好きになってしまったんですが、あんまりしゃべっていると時間がなくなっちゃいますけれども、要約すると、フィンランド人にとっての図書館とは、単に情報や文化を得る場所ではなく、何かを生み出し、それを共有、拡散できる場所であると。物を製作することも、音楽を演奏することも、自分たちのイベントを企画して楽しむこともできる市民のリビングルームのような存在で、生活の中心的存在になっているということです。
さらに、私が送った2通目の、若者の読書離れについての返信には、フィンランドでも若者の、特に男の子の読書離れが起こっていることが心配であると書かれていました。また、電子書籍については、都市の規模による電子書籍数の差があり、現在、国として共通のプラットフォームづくりを模索しているとのことです。国を挙げて電子図書環境整備に取り組んでいるフィンランドは、さすが読書大国です。
この話を伊藤館長に伝えたところ、ぜひ読みたいということで、その夜に送らせていただいたら、もう既にその翌日には、図書館の司書さんたちにこの手紙を紹介されて、とても励みになったというお返事をいただいて、私もすごくうれしかったです。
いつでもどこでも好きなだけ本が読める電子図書は、不登校の児童生徒を含め、放課後に図書館に行く時間が取れない中学生の読書率向上につながることは間違いありません。スマートシティの、まち全体がネットワークにつながり、居住者が便利に安心して暮らせるシステムが張り巡らされた都市や地区に、まさに合致するものです。
そこで、次の質問をします。昨日の大倉議員と重複する質問になってしまいますが、ICT利活用による電子図書館開設について、市はどのように考えているのでしょうか。
最後は、教育の分野におけるスマートシティ推進です。
ここで改めて、2019年12月、萩生田文部科学大臣のメッセージの一部を紹介します。「今や、仕事でも家庭でも、社会のあらゆる場所でICTの活用が日常のものとなっています。社会を生き抜く力を育み、子供たちの可能性を広げる場所である学校が、時代に取り残され、世界からも遅れたままではいられません。」。
学校現場でのICT利活用教育の遅れが日本社会全体のICT化の遅れにつながっていることは、疑いようのない事実なのです。12月議会の鳥海議員からの質問に対して提出された教育委員会のスキームは、あの段階のものとしては苦労してつくられたものだと分かるし、高めの目標設定、教員の意識高揚というフレーズにも意気込みが感じられます。
しかしながら、残念なことに、本市はいまだタブレット端末配付が完了していません。また、緊急事態宣言が発出されても、長期にわたる休校措置を取る必要が少なくなり、成田市の学校現場でのタブレット端末の必要性が薄れてきているように思います。このような状況下では、児童生徒並びに教職員も、ICT利活用教育についての意識は高揚しません。
今、本市教育委員会職員が、担当課だけでなく全課を挙げて、その必要性を現場の教職員、児童生徒、そして保護者に熱意を持って訴えなければ、このタブレット端末は適度な重さの文鎮と化してしまいます。
そこで、基本に立ち返った質問をします。ICT利活用教育を通して、市は国際都市成田の児童生徒をどのように育てたいのでしょうか。
以上で、壇上からの質問を終わりにします。
秋山忍
小泉市長。
〔市長 小泉一成君登壇〕
◎市長(小泉一成君) 眞野議員のスマートシティ推進についてのご質問にお答えいたします。
まず、エネルギーの地産地消の推進についての現状と今後の展望についてでありますが、現在、住宅用省エネルギー設備を設置した市民への補助を実施しており、太陽光発電システムでは、補助を開始した平成21年度から昨年度までの11年間に、2,074件の補助を行い、合計最大出力は、9.5メガワットとなっております。
近年の傾向といたしましては、太陽光発電システムに加えて、蓄電池の補助申請が増えていることから、住宅で発電したエネルギーを、家庭で蓄電し消費することで、エネルギーの地産地消がより一層図られているものと考えております。
また、小中学校をはじめとした本市の公共施設におきましては、太陽光発電システムや蓄電池を設置し、発電したエネルギーを施設内で利用しており、今後も新たに整備を計画している施設などにおいて、設置を推進してまいりたいと考えております。
そのほか、本市の成田富里いずみ清掃工場と香取市の太陽光発電所で発電した電力を活用するため、平成28年7月に本市と香取市及びシン・エナジー株式会社が共同出資により、地域電力会社である株式会社成田香取エネルギーを設立し、2市の公共施設に電力を供給しております。
本市では昨年11月に、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指すゼロカーボンシティ宣言を表明し、その中でも省エネルギーや再生可能エネルギー利用の推進を掲げており、今後につきましては、脱炭素社会の実現を目指す中で、エネルギーの地産地消をさらに進めてまいります。
次に、ICTネットワークを活用した市民の健康増進についてでありますが、昨今の情報通信技術の発達により、ICTネットワークは健康づくりに関連する分野においても広く活用され、利用者の健康データの収集、分析を行うことにより、個々の健康増進や疾病予防に寄与しているものと認識しております。
現在、本市では直接ICTネットワークを活用した健康増進事業は実施しておりませんが、インターネットを利用した電子申請により、成人健診の申込みや、乳児家庭全戸訪問などを受けるための届出を受け付けているところであります。さらに、本年度からは、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、従来の対面による参加方式からウェブ会議システムを活用したリモートによる健康教室や講演会などを開催し、市民の皆様の健康づくりに資する取組を始めているところであります。
健康寿命の延伸や生活の質の向上を目指す本市の取組として、ICTネットワークによるデータの活用は、利便性や効率性を高める有効な手段と考えられる一方で、個人情報の管理など課題も挙げられていることから、今後、国の動向や他自治体の先進事例を参考に、本市の実情に合った取組について調査研究してまいります。
次に、MaaSについて市はどのように考えているのかとのことでありますが、本市では市民が円滑に移動できる地域の望ましい公共交通の在り方を示し、持続可能な地域公共交通ネットワークを構築するためのマスタープランとなる地域公共交通計画の策定を、昨年度から取り組んでいるところであります。
近年、公共交通における新技術として、MaaSのような、複数の公共交通機関や移動手段を最適に組み合わせ、目的地まで一括した予約や決済などを提供する新しいモビリティーサービスも開発されてきております。このような取組は、市民の皆様はもとより外国人旅行者も含めた幅広い利用者にとって使いやすいサービスになると期待されますことから、本計画の策定を進める中で、新たな技術やサービスについても先進事例などを参考とし、導入の可能性について交通事業者と研究してまいります。
また、オンデマンド交通におけるICTを活用した取組をとのことでありますが、本市では70歳以上の高齢者のための外出支援策としてオンデマンド交通の運行を実施しており、現在、多くの方にご利用をいただいております。
ご利用には事前登録が必要となりますが、予約のやり取りで使用する連絡先の登録において、昨年度末時点での登録者4,302人のうち半数強の2,270人が固定電話のみの登録であることや、登録者の大半が70歳代後半から80歳代であるという実態からも、スマートフォンなどからインターネットを介して利用予約を行うよりも、オペレーターとの会話による電話予約が、現状では最も利用しやすい方法であると考えております。
また、本市におきましてはAIを活用した予約システムを導入したことにより、オペレーターの運用がスムーズになり、利用者の要望に極力沿った運用ができているものと考えております。
オンデマンド交通におけるICTの活用につきましては、先進自治体などの事例を参考に調査研究してまいりたいと考えております。
次に、吉倉地区周辺まちづくりには、スマートシティの概念が生かされるべきとのことでありますが、吉倉地区周辺における新たなまちづくりにつきましては、成田空港の更なる機能強化などに伴う新たな開発需要や人口増加が見込まれる中、その受皿となる都市基盤を計画的に整備することで、本市が将来にわたり豊かで活力を持ち、持続的に発展していけるよう構想したものであり、現在はその実現に向けて地権者の皆様の合意形成が促進されるよう取り組んでいるところであります。
スマートシティにつきましては、近年ではICTやAIなどの新技術の急速な進展に伴い、これらの新技術と官民が保有するビックデータをまちづくりに活用することで、地域の実情に応じて交通や観光分野をはじめ、防災や防犯、エネルギーや環境、さらには健康や医療など、様々な分野にわたる課題の解決に向けた取組へと変化し、これにより市民生活や都市活動における大幅な質の向上や行政サービスの効率化、高度化などをもたらすことが可能になると言われております。
吉倉地区周辺の新たなまちづくりにおきましても、スマートシティの概念を生かして、地域のポテンシャルや課題を踏まえたまちづくりのコンセプトを定め、持続可能な取組とすることで、まちの魅力や価値を高めることにつながるものと考えておりますことから、先進事例などを参考にしながら、本市としてどのような取組ができるか調査研究してまいります。
なお、スマートシティ推進についてのご質問のうち、ICT利活用による電子図書館開設及び児童生徒への教育に関するご質問につきましては、教育長よりご答弁申し上げます。
秋山忍
関川教育長。
〔教育長 関川義雄君登壇〕
◎教育長(関川義雄君) 私からは、スマートシティ推進についてのご質問のうち、ICT利活用による電子図書館開設に関するご質問からお答えいたします。
図書館で電子書籍サービスを導入した場合のメリットとして、貸出しから予約、返却まで、インターネットを介して手続をするため、時間や場所にとらわれずに来館しなくても利用できるという点や、貸出期間後は自動で返却されるという点が挙げられます。
しかし、日本で電子書籍が普及し始めたのは2010年頃からと言われておりますが、出版される図書の全てが電子書籍化されるわけではありません。例えば、2019年に出版された図書約7万3,000点のうち、電子化されたのは約2万4,000点で約33%となっており、電子書籍化率が50%を超える欧米などと比較すると、まだまだ少ないのが現状であります。
また、現在、国内で電子化されている書籍は約32万点という調査がありますが、図書館向けの電子書籍は9万点弱と言われており、資料点数が豊富とは言えない状況であることから、本市では電子書籍サービスの導入については、今後の課題と考えておりました。
しかしながら、今回、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言などにより長期に臨時休館をすることになった図書館が全国で広がる中で、電子書籍サービスへの要望が高まってきております。
このようなことから、来年度を初年度とする成田市立図書館サービス計画においても、電子書籍サービスの導入については、コロナ禍における図書館サービスを継続する解決策の一つであるとともに、多様なメディアによる図書館資料の提供の一つとして掲げていることから、本市におきましても電子書籍サービスを来年度から実施してまいりたいと考えております。
次に、ICT利活用教育を通して、市は国際都市成田の児童生徒をどのように育てたいのかとのことでありますが、文部科学省から示されているGIGAスクール構想では、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、一人一人に公正に個別最適化され、資質・能力を一層確実に育成できる教育とICT環境の整備を目指しており、この実現に向けて、本市におきましても、全ての子供たちに対して、主体的、対話的で深い学びを実現することを目指し、整備などを進めているところであります。
本市におきましては、来年度からタブレット端末の本格運用を予定しており、子供たちが自己表現を行う中でコミュニケーション能力を高めるための一つのツールとして活用し、考えを互いに共有したり、一人一人の学習状況に対して個別最適化されたAIドリルに取り組んだりすることで、今まで以上に学びを深められるようになります。
このようなことから、教育委員会といたしましては、インターネット上での安全面に配慮しながら、子供たちが自らの人生をさらに豊かなものにできるよう、教員への支援・指導を通じながらICT教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
なお、長期にわたり休校措置を取るような非常事態に際しましては、オンライン授業が実施できるよう準備は進めておりますが、教育委員会といたしましては、タブレット端末の主たる活用の場は日々の授業と捉えております。
また、教員に対しましては、タブレット端末は使用することが目的ではなく、あくまで学ぶための手段であることを認識した上で、授業における具体的な活用方法や、本市のGIGAスクール構想における理念を、各種研修会や、随時発行している教育センターだよりなどを通して周知し、効果的な活用が図れるよう努めてまいります。
秋山忍
眞野議員。
眞野義行
ご答弁ありがとうございました。
それでは、質問席より提案及び質問を続けます。
質問1の脱炭素社会の実現に向けたエネルギーの地産地消の推進については、株式会社成田香取エネルギーを有している本市は、日本の中でもかなり先進的な取組をしている自治体と言えます。本市は、スマートシティ実現のための中核になる部分を有していることになります。エネルギーの地産地消は、スマートシティ実現のための大切な要素の一つです。
質問2については提案をさせていただきます。
ICTネットワークを活用した市民の健康増進については、先ほど紹介した2014年持続可能なまちづくり推進調査報告書の中で、戦略10として次のように明記されていました。
中心市街地(公津地区など)にモデル地区を設定し、スマートフォン等のデジタル機器と健康データ分析システムをICTネットワークなどで連動させ、利用者の健康状態を表示するサービスや健康増進活動などに応じたポイントサービスなどを提供し、市民の健康増進及び地域コミュニティの活性化を図りますと。
現在、成田市では、直接ICTネットワークを活用した健康増進事業は実施していないとのことで、大変残念に思います。7年前に公津地区などにモデル地区を設定という、かなり具体的な戦略があったのですから、とても残念です。当時、参考例に挙げていた静岡県藤枝市の健康マイレージは、「健康・予防日本一ふじえだ」をスローガンに、今も拡充、継続されています。
スマートフォンと連動して健康マイレージをためて、そのポイントで市内商店街や飲食店での割引に使用できるようなシステムづくりを進めてほしいです。ICT利活用による健康増進プラス地域商店街の活性化の、一石二鳥になります。
健康増進、医療費削減は、スマートシティ実現のための、大切な要素の一つです。
次に、MaaSについてです。こちらは質問です。
東京大学大学院開発のAI活用オンデマンド交通システム、コンビニクルは、柏市柏の葉スマートシティで導入されていて、2013年、カシワニクルという名称で実証実験を開始し、内閣府の次世代公共交通システムの研究・開発を進めるプロジェクトのモデル都市に選ばれていますが、成田市で行われている実証実験にも導入されているのでしょうか。また、今後導入予定があるのでしょうか。
秋山忍
木下福祉部長。
◎福祉部長(木下敬君) オンデマンド交通システム、コンビニクルにつきましては、本市におきましては運行開始当初の平成23年度から平成24年度及び平成28年度に導入の実績がございます。これは、東京大学大学院の研究を基にオンデマンド交通システムを開発した2者による見積り競争を実施した結果によるものでございまして、両者のシステムの性能に大きな優劣はなかったものと考えております。
なお、システムが頻繁に変更になりますと、それを実際に操作するオペレーターが混乱することから、平成30年度からは、オペレーションなどを行う運行管理業務の受託者においてシステムの選定を行っております。
以上でございます。
秋山忍
眞野議員。
眞野義行
ありがとうございます。
それでは、次の質問です。東京大学及び大学院の様々な学科でMaaSについての研究が始まっていますが、本市の実証実験を担当している新領域創成科学研究科チームによる、本市職員に対する研修または意見交換会等の機会が、これまでにありましたか。また、今後計画されていますか。
秋山忍
木下福祉部長。
◎福祉部長(木下敬君) 本市と東京大学大学院新領域創成科学研究科とは、これまでAIを活用したオンデマンド交通に関する共同研究を行ってきましたため、その分野につきましては定期的に意見交換を行っておりますが、MaaSに関する研修や意見交換などは、これまで行ってきておりません。また、本市の現行のオンデマンド交通システムは、ご自宅のすぐ近くから行き先のすぐ近くのバス停まで運ぶという考え方ですので、乗り継ぎによる利用は想定をしておりませんので、現在のところMaaSに関しての意見交換等は、計画はしておりません。
以上です。
秋山忍
眞野議員。
眞野義行
ありがとうございました。
ところで、2020年度東京大学新領域創成科学研究科の入学試験に、MaaSについて論じる問題が3問出されています。そのうちの一つを紹介します。「都市の中心に商業・業務地区が存在し、そこにつながる鉄道沿いに住宅地が広がり、地価も辺縁部に向かって次第に下がっていくという構造を多くの都市は持っている。MaaSが普及すると、都市の構造はどのように変化するだろうか。」。
MaaSの最終目的は、オンデマンド交通を含めた地域公共交通機関の一本化です。成田市から積極的なアプローチをしてはみませんか。MaaSはスマートシティ実現のための大切な要素の一つです。
次に、吉倉地区周辺まちづくりについてです。これは提案です。
ご答弁の中に、スマートシティの概念を生かしてという前向きなご発言がありました。柏市柏の葉スマートシティのような産官学のまちづくりの上を行く、土地区画整理事業ではありますが、だからこそ、産官学民の取組を目指されることを期待しています。地産地消の自然エネルギーを利活用した、人にも自然にも優しいまちづくりは、スマートシティ実現のための大切な要素の一つです。
次は、電子書籍サービス導入についてです。こちらは質問です。
成田市立図書館の電子書籍サービス導入は、大変喜ばしいことです。今後、成田市の子供たちの読書量向上に向けて、このサービスの有効活用を期待しますが、どのようにお考えですか。
秋山忍
田中教育部参事。
◎教育部参事(田中美季君) 図書館の電子書籍サービスにつきましては、対象となる電子書籍が限られており、特に児童向けの点数はまだ十分ではないことや、紙の本と同様に、人気のある書籍に予約が集中することなど、様々な課題があります。将来的に、子供の読書を支援する多様なメディアの一つとして活用していただけるよう、電子書籍サービスを構築していきたいと考えております。
以上でございます。
秋山忍
眞野議員。
眞野義行
ぜひよろしくお願いします。
著作権フリーで公開されている青空文庫等以外は、1ライセンス何百円とか何千円という金額でコンテンツを買わなければいけません。
この1月から船橋市は、流山市、八千代市に続いて電子図書館を開設しました。船橋市の図書館担当の方とお話ししましたが、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のうち、996万6,000円を活用することで、当初予定していたビジネス系新聞や雑誌の記事等に加えて、語学や料理などの実用書、児童書などの新書のコンテンツの充実を図ったそうです。いわゆる新書の購入には、当然予算が必要になります。
1人1台端末が配備される予定の子供たちにとって、大きなタブレットの画面で手軽に本が読め、返却の心配も要らない電子書籍は、タブレットが文鎮化しないためにも、非常に有効な道具であると考えます。ぜひ、行政の後押しをよろしくお願いします。創造力が豊かな子供を育てることは、スマートシティ実現のための大切な要素の一つです。
最後は、ICT利活用教育を通して、市は国際都市成田の児童生徒をどのように育てたいかについてです。
タブレット端末は使用することが目的ではなく、あくまで学ぶための手段であるということを、教職員、児童生徒に伝えていくためには、技術的なことの支援だけでなく、実際の授業でICT利活用教育を支援してくれる人材が必要です。12月議会での鳥海議員からの質問にもありましたが、民間企業からそういった人材を新たに採用する、または、民間企業とアドバイザリー契約を結ぶ計画はありますか。
秋山忍
清水教育部長。
◎教育部長(清水活次君) 教育委員会としましては、現在も教員への研修を段階的に進めておりますけれども、さらに、来年度からは、ICT支援員やヘルプデスク、教育指導課指導主事による支援体制を構築しまして授業での支援を行ってまいりたいと考えております。
具体的には、ICT支援員につきましては、各学校に月3回程度の配置、ヘルプデスクにつきましては、日中いつでも問合せができるように準備をしております。また、教育指導課指導主事におきましては、各学校の授業研修会に訪問しまして、教科の特性に応じてタブレット端末が有効に活用できるよう支援してまいりたいと考えており、ご提言の民間企業とのアドバイザリー契約につきましては、今後必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
以上です。
秋山忍
眞野議員。
眞野義行
分かりました。
次の質問をします。ICT教育の充実には、教育委員会やセンターだけの限られた人員では厳しいものがあります。近年の行政改革の手法が産官学民に移行していることから考えても、私が半年前から提案している千葉工業大学との包括的連携協定を締結することは、予算をかけずにICT教育支援を受けられるという点で非常に効果的だと思いますが、その予定はありますか。
秋山忍
清水教育部長。
◎教育部長(清水活次君) ICT教育の支援としましては、端末納入業者より、本市の教育振興基本計画の内容に基づきまして、包括的にサポートしていただいております。教育委員会としましては、教員とICT支援員、ヘルプデスク、教育指導課指導主事が一丸となって、子供たちの学習活動を支えてまいりたいと考えており、千葉工業大学との包括的連携協定につきましても、今後必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
以上です。
秋山忍
眞野議員。
眞野義行
分かりました。
ここで、お手元の資料をご覧ください。一番最初のやつですね。地域連携事業の方針ということで、これは千葉工業大学のホームページから抜粋したものです。
具体的な活動計画ということで、下のほうに、小中学生対象の出前授業の開催と。これはコロナで今、現状できていません。小中学生を対象としたタブレットを活用したICT教育支援と。これはコロナでなかなかできていないんですけれども。
ただ、この後紹介いたしますけれども、この千葉工業大学の地域連携事業活動内容、この地域連携事業活動を利用して、今年1月に八街市は、ロボット研究第一人者の先川原教授による市内全中学校同時のオンライン授業を行いました。最先端ロボット工学の開発秘話から、便利なネット社会の情報をうのみにする危険性までを講話されました。千葉日報に大きく出ていたんですが、著作権の問題があって掲載できませんでしたが、ロボット研究に長年関わってきた当事者ならではの見解として、自分の頭で考え、本当に必要かどうか判断してと生徒に呼びかけました。
実は、千葉工業大学は、昨年9月にアマゾンウェブサービスジャパンが行ったオンライン開催によるロボットコンテストで日本一になっているんです。競技はAIによる自律動作で、ミニチュアのまちを走るタイムレースです。私は、子供たちにとって本当に教育が深化するのは、もちろん教育の専門家がお話しするのは当然ですが、こうした実際に活動されている専門家の方によるお話のほうが、はるかに浸透するのではないかと思っています。
続いて、2ページ目の資料を見ますと、そこに、成田中学校も実はブルーインパルスのパイロットによる講演が行われました。このブルーインパルスのパイロット、これは昨年の5月の医療従事者応援飛行を行ったパイロットです。ブルーインパルスのパイロットは、もうトップ中のトップです。
ここで、夢を諦めないと。夢は逃げない、逃げるのは自分、諦めない気持ちで頑張ってほしいという講話を行われたんですね、私も招待されて見に行きましたが。その下のほうに写真が入って、線が入っちゃっていますが、大型受像機の整備も、せっかく講演が無駄にならないために必要かなと思います。
時間がきてしまいましたので、今回スマートシティのお話を通して、ICT教育利活用について述べさせていただきました。ありがとうございました。