令和3年6月 定例会(第2回) 06月08日

令和3年6月 定例会(第2回) 06月08日

眞野義行

皆さん、こんにちは。
議席番号3番、政友クラブ、眞野義行です。
通告に基づきまして一般質問をさせていただきます。
なお、議長の許可を得まして資料を用意しております。
後ほど説明いたします。
テーマは、外国人患者受入れのための体制整備についてです。
質問は大きく分けて2つです。
大問1は、外国人患者受入れに係る対応について、市はどのように考えているのか。
大問2は、外国人医療対策協議会等の設置が必要と考えるが、市の見解は。
それでは始めます。
今から約1か月前の5月2日、八富斎場でインド人女性の火葬式に参列しました。
インドからアメリカへ向かうインド人の母親と息子さん。
成田空港での乗換えで飛行機待ちの間にお母さんがめまいを起こし、成田赤十字病院に救急搬送。
診断の結果、エコノミー症候群と判明しましたが、治療のかいもなく4月30日にお亡くなりになりました。
様々な経緯から、私はこの方の火葬まで関わることになったのですが、成田赤十字病院、成田市役所、葬儀屋、火葬場などと連携、交渉を行いました。
成田赤十字病院の国際診療科の医師は英語が話せる葬儀屋を探し、その葬儀屋がアメリカ大使館に連絡をし、その結果、5月2日の午前中に火葬式が実現し、夕方の特別便でアメリカに飛び立つことができました。
寄る予定のなかった日本で母親が入院し、そのままお亡くなりになり、お骨にしてアメリカに持っていかなければならなくなった息子さんは、言葉が分からず、すべきことも分からず、悲しむ暇もないままアメリカに旅立ちました。
国際空港を抱えた都市にはこういう問題が起きるということを、そしてその対応が本当に大変であるということを、身をもって知ることができました。
もし、この息子さんが英語を話せない方だったら、この特別便に間に合ったかどうか。
そういう意味では、彼は不幸中の幸いだったと言えます。
ところで、葬儀屋の請求額は40万円を超えていました。
私はその高額さに驚いて相談すると、英語の通訳、文書作成、市役所までの同行、その後空港まで付添いをされるということだったので、決して高額とは言えない金額であるとも思いました。
状況を考慮し、結局かなり請求金額は下がりました。
病院の費用については、ICU入院治療で100万円を超えました。
日本の公的医療保険を有していないために、このような高額請求が発生したのです。
旅行者にとって支払える金額ではありません。
まして、単なるトランジットだったのですから。
この1週間後、治療にあたられた成田赤十字病院の先生から連絡が入りました。
外国人患者及び外国人医療費問題についてお話がしたいと。
私も、今回のことでこの問題に関心を持ったので、すぐにお目にかかることにしました。
また、母親を亡くしたインド人の息子さんが、医療費をきちんと支払えたかどうかも気になっていたので。
結局、葬儀屋さんと成田赤十字病院に支払われた金額は総額で約35万円、アメリカに到着後支払うという約束でしたが、今も支払いはありません。
海外旅行保険に加入していなかったようです。
成田赤十字病院の未収金額は約100万円です。
さて、一口に外国人患者といっても、異なる3つのタイプがあります。
1、日本で暮らす資格を持っている在留外国人患者、2、医療目的で日本の医療機関を受診する外国人患者、3、日本滞在中に病気やけがで治療が必要となった訪日外国人旅行者患者の3つです。
1番目の在留外国人患者の場合は、日本の公的医療保険に加入していることから、日本の医療文化や医療習慣を一定程度理解しています。
しかしながら、様々な理由で公的医療保険に加入していない、またはできない在留外国人の方もいます。
彼らが大きな病気やけがで医療機関にかかるともちろん10割負担になり、場合によっては100万円以上の高額な支払いが生じます。
さらに、健康保険がない外国人に対しては、200%の診療費を請求する病院もあるので請求額はさらに高額になり、未払いが生じます。
2番目の、医療目的で日本の医療機関を受診する外国人患者とは、2011年に制定された医療滞在ビザを有して訪日する外国人患者及び同伴者のことです。
最長3年の滞在が可能で、治療・健診のほかに美容・健康増進、そういった目的でも医療滞在ビザは発行されます。
したがって、ここでいう外国人患者とは、主に海外の富裕層の方々を指します。
昨年、議員団で開業前に視察した国際医療福祉大学成田病院のホテルのような個室は、こういった外国人をターゲットにしています。
こうした動きは医療ツーリズムと呼ばれ、富裕層の間では認知度が高く、世界的にかなりな広がりを見せています。
3番目の、訪日外国人旅行者患者は、訪日同行者のみならず単に乗換えのために空港やホテルにいる間にエコノミー症候群などで体調が急変し、救急搬送される外国人旅行者も含みます。
2019年、観光庁が行った、訪日外国人旅行者の訪日中の不慮のけがや病気の医療費をカバーする保険の加入状況等に関してのアンケートでは、約74%の方が旅行保険に加入しているという結果が出ました。
逆に言えば約26%、実に4人に1人が傷病に対して無防備な状態で訪日しているということになります。
この26%の訪日外国人が患者になると、1番目の公的健康保険に加入していない在留外国人と同様の医療費未払いという、深刻な問題が生じる可能性があります。
以上のことから、外国人患者受入れには様々な対応が必要となります。
ここで1つ目の質問をします。
外国人患者受入れに係る対応について、市はどのように考えているのでしょうか。
さて、ここでお手元の資料1をご覧ください。
成田赤十字病院外国人患者数の推移です。
患者数は延べ人数になっています。
平成29年、2017年に国際診療科が開設されてからのデータです。
国際診療科とは、以前より外国人患者を多数受け入れてきた成田赤十字病院が、今後さらに増えていく外国人患者に対して安心して受診、療養できるよう、またスタッフも不安なく医療を提供できるように新設した科です。
医療通訳、翻訳サービスなどのみならず、外国人患者の診療や保険の問題、帰国に関するサポートなど、国際医療に関連して院内で生じる様々な問題の窓口となっています。
このデータを見ると、令和2年度には延べ外国人患者数が5,324人にまで増加していることが分かります。
コロナ禍ですので在留外国人の増加が要因ですが、この4年間の国際診療科の人道的な対応が患者増につながっているのだと思います。
さて、このデータの令和元年度の4,701人の延べ患者数について説明します。
実質患者数は3,770人、そのうち在留外国人は3,354人、訪日外国人は416人。
この416人は短期滞在資格(観光等)で在留しているため、日本の公的保険に加入していません。
この年の成田赤十字病院の未収金額総額は1億436万7,400円です。
内訳は日本人未収金額約8,300万円、外国人未収金額約2,100万円。
外国人未収金額の内訳としては、在留外国人の未収金額が約1,500万円、訪日外国人の未収金額が12人で約600万円となっています。
訪日外国人の例を2つ紹介します。
Aさんは、入国後、成田空港から救急搬送され、数日ICUで治療後に死亡。
発生した医療費は162万7,953円、うち支払われた金額は18万7,933円。
Bさんは旅行者で、国内旅行を終え帰国直前に救急搬送され、数日ICUで治療後、死亡。
発生した医療費は445万7,051円、うち支払われた金額は約80万円。
どちらも分割払いの誓約書を書いてもらっていましたが、退院、帰国後に電話やメールで督促するも、一度も支払われていません。
このケースは、まさに私が関わったものと同じです。
裁判を起こしたとしても、日本の判決は海外では有効にならないので、実質意味がありません。
日本に財産があれば、その差押えもできますが、旅行者なので差し押さえる財産もありません。
つまり、病院の医療かかり逃げという、言葉は悪いですが形になってしまいます。
では、こういった医療費不払いのリスクを抱えた外国人の診療を、医療機関は拒否できるのでしょうか。
それはできません。
医師法により、治療を求める患者がいる限り医師は診療を拒否することができず、必ず治療に応じなければならないという、応召義務が発生するからです。
赤十字という社会的責任を負う成田赤十字病院が、お金を払えそうにないからといって診療拒否などできず、まして、空港から救急で搬送された外国人の診療拒否などできるはずはありません。
ここで、資料1の裏面をご覧ください。
これは、空港内急病人搬送先医療機関一覧です。
警防課で過去5年に遡って調べてくれました。
このデータは日本人と外国人合計の搬送人数です。
空港内での外国人救急搬送の際には、総務省消防庁が推奨している14か国、15言語に対応している救急隊員用多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」を使用することで、成田市もこれまで大きな混乱もなく外国人を搬送できているそうです。
しかしながら、搬送先の医療現場では多言語化に対応し切れていないことが実情です。
上位3つの医療機関に、この多言語化についての聞き取り調査を行いましたが、やはり通訳または外国語対応医療ソーシャルワーカーなどの整備が追いついていないということでした。
診療費未払い問題とともに、この医療通訳者の確保・育成も大きな課題となっています。
医療現場の負担を軽減するためにも、訪日外国人旅行者に直接関わるNAA、各空港会社、消防、医療機関、そして通訳人材確保に関わる国際交流協会などの機関が一堂に会する必要性が生じていると思います。
そこで、2つ目の質問です。
外国人医療対策協議会等の設置が必要と考えるが、市はどのようにお考えですか。
以上で壇上からの質問を終わります。

雨宮真吾 議長

小泉市長。
〔市長 小泉一成君登壇〕

◎市長(小泉一成君) 眞野議員の、外国人患者受入れのための体制整備についてのご質問にお答えいたします。
まず、外国人患者受入れに係る対応について、市はどのように考えているのかとのことでありますが、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響により訪日外国人旅行者数は大きく減少し、在留外国人数についても減少しておりますが、我が国における訪日外国人旅行者数及び在留外国人数は近年増加傾向にあり、本市における外国人住民も増加しております。
このような中、国では平成30年6月に、訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策を取りまとめ、日本を訪れる旅行者が医療を必要とする場合に備え、安心・安全に医療を受けられる環境を整えることとしております。
また、訪日外国人に対する取組に加え、在留外国人につきましても、外国人材の受入れ、共生のための総合的対応策を取りまとめ、全ての居住圏における外国人患者が、安心して受診できる体制の整備を進めることとしております。
さらに、外国人患者の受入れ体制に係るニーズなどは都道府県ごとに異なり、優先課題も大きなばらつきがあると考えられ、増加が続く外国人患者を単独医療機関で受け入れるには限界があることから、医療機関に対する支援とともに地域での受入れ体制への支援が重要とされ、都道府県単位の外国人患者受入れ体制整備に対する支援が進められております。
本市では、市内医療機関における外国人患者の受入れ状況などにつきましては把握しておりませんが、国際医療福祉大学成田病院においては現在4か国語に対応し、患者の受入れを行っているところであり、成田赤十字病院においても、平成29年度に国際診療科を開設するなど、体制の整備及び充実が図られているところであります。
また、市のホームページにおいて、市内医療機関の掲載と併せて多言語対応が可能な県内医療機関などの情報が掲載されている「ちば医療なび」を紹介することで、外国人住民が外国語の対応が可能な医療機関などを検索するための一助となるよう、対応しているところであります。
外国人患者の受入れにつきましては、言語への対応や医療費の未払いなどの課題もあると認識しており、国や県での広域の医療体制の整備が必要であると考えておりますので、今後も動向を注視するとともに、外国人患者が必要とする情報の提供を図ってまいります。
次に、外国人医療対策協議会等の設置が必要と考えるが、市の見解はとのことでありますが、国では、訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策において、外国人患者が直面する様々な課題に対して幅広く検討することができるよう、行政機関、医療機関に加えて外国人患者受入れ体制整備に関連する関係機関を集めた協議の場を設置することを推奨しております。
外国人医療対策協議会等の設置につきましては、都道府県に設置が求められておりますが、現在までのところ千葉県では設置されておりませんので、今後設置された場合につきましては、本市においても必要に応じて協力をしてまいりたいと考えております。

雨宮真吾 議長

眞野議員。

眞野義行

ご答弁ありがとうございました。
それでは、質問席より質問を続けます。
ここで、東京にある国立の国際医療研究センター病院のホームページを紹介します。
日本の健康保険資格を有していない外国人患者の、診療報酬の請求についての告知です。
「①海外在住で日本の健康保険資格を有しておらず、治療目的のために来日し、当院を受診した場合は、受け入れ準備および事務作業等に必要な業務量を考慮し、診療報酬点数1点につき30円を請求いたします。
」つまり、受診をすれば通常の3倍の診療費がかかるということです。
「②今、日本にいて、日本の健康保険資格を有しておらず、上記①以外で当院を受診した場合は、診療報酬点数1点につき20円を請求いたします。
」つまり、2倍の診療費が発生するということです。
一体、なぜこのような告知をするのでしょうか。
理由は、日本の高度な医療を受けて診療費を払わず、そのまま母国へ帰ってしまうという、そういった悪質な外国人がいるからです。
先ほど説明した、医療ツーリズムで訪日する富裕層とは明らかに異なります。
また、1点につき20円を請求することとともに、事前に医療費が高額になることを知らせておき、前払い制度であることを告知しておけば、医師の応召義務に反することなく、診療費を払わない外国人の受診拒否ができるからです。
この対策は、未払い問題を回避するために有効で、厚生労働省も認めています。
これらは、病院経営上必要な措置であると言えます。
さて、ここで成田赤十字病院の例を紹介します。
赤十字病院でも、診療点数については度重なる討議がありました。
しかしその結果、国際診療科開設の本来の目的に準じ、その道義的責任から1点につき10円で診療を行うことになりました。
つまり、日本人と同等の診療費です。
空港周辺の医療機関がそれぞれの事情で個別対応になることは仕方がないことですが、特に救急搬送された訪日外国人患者に対する対応が、病院ごとに異なるということになると、訪日外国人にとって安心・安全な都市であると言えない可能性があります。
そこで質問します。
国の示す、日本を訪れる旅行者が医療を必要とする場合に備え、安心・安全に医療を受けられる環境を整えるとは、具体的にどういったものを想定しているのでしょうか。
お答え願います。

雨宮真吾 議長

高橋健康こども部長。

◎健康こども部長(高橋一夫君) 国では、訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策において、外国人観光客自身の適切な費用負担を前提に、予期せぬけがの際、不安を感じることなく医療等を受けられ、安全に帰国できる仕組みを構築するとしております。
具体的には、可能な限り多くの外国人観光客の加入を目指した旅行保険への加入勧奨に取り組むことや、観光の振興に主体的に取り組む地域ごとの多様な関係者の連携による環境整備を国として支援するなどとされております。
以上でございます。

雨宮真吾 議長

眞野議員。

眞野義行

ありがとうございます。
ご答弁のとおり、未払い問題が発生しないためには、訪日外国人が自己責任で海外旅行保険に加入することが極めて当たり前、かつ大切なことだと思います。
観光の振興に主体的に取り組む地域ごとの多様な関係者の連携による環境整備も必要不可欠なことになっていくと思います。
さて、皆さんは成田市内在住の小学生O君のことをご存じでしょうか。
昨年、体に大きな疾患が見つかり、千葉大学医学部附属病院で手術を受けました。
放置しておけば確実に命に関わる問題でした。
最初は成田赤十字病院に相談があったのですが、そのときに病院では、難民申請中の親子は健康保険に加入できておらず、このまま日本で手術を受ければ極めて高額な費用が発生すると。
そこで、ぜひ母国に帰国して手術を受けることを勧めました。
しかし、難民として日本に逃れてきたので帰国をすると逮捕されてしまうと、殺されてしまうということから帰国を拒否。
その後、幾つかの経緯を経て、結局千葉大学医学部附属病院で手術ということになりました。
手術は無事成功しましたが、この親子には多額の未払い金が生じました。
総額626万4,550円です。
毎月3万円、18年をかけて返済していかなければなりません。
公津の杜にあるカトリック成田教会では、日本語補助教員を行っていらっしゃる方の呼びかけもあって、O君のための募金活動がありました。
日本人と多くの外国人信者の皆さんが寄附をして、3週間で33万4,479円が集まりました。
しかし、彼はこの先非常に重い十字架を背負って生きていかなければなりません。
ところで、保険未加入者に対する救済措置として、無料低額診療制度というものがあります。
生活保護受給者でない方で低所得者、要保護者、ホームレス、DV被害者、短期滞在の外国人、不法滞在者、旅行者など、生計困難者が対象になっています。
しかしながら、それを実施している医療機関または医療法人が少ないのが現実です。
東京には無料低額診療で受診できる病院がたくさんあり、メディカルソーシャルワーカーのグループが、外国人で医療費が払えない方々に無料低額診療で受診できるよう取組をしてくれています。
千葉県は、無料低額診療事業を行っている病院が少ないことに加えて、成田市には無料低額診療制度を持つ病院がありません。
こういった問題を、国際都市を標榜する成田市が放っておいてよいのでしょうか。
外国人患者受入れのための体制整備は、これからの成田市の発展には欠かすことのできないものだと思います。
そこで、最後の質問をします。
外国人患者が必要とする情報提供を図ってまいりますとのお答えでしたが、市は、具体的にはどのような情報提供を想定しているのでしょうか、お願いします。

雨宮真吾 議長

高橋健康こども部長。

◎健康こども部長(高橋一夫君) 具体的な情報提供といたしましては、市長よりご答弁申し上げましたとおり、市のホームページにおいて、市内医療機関の掲載と併せて多言語対応が可能な県内医療機関などの情報が掲載されている「ちば医療なび」を紹介することや、13言語で様々な相談について受け付けている成田市外国人総合相談窓口を案内するなど、外国人患者の方が必要とする情報の提供を図ってまいります。
以上でございます。

雨宮真吾 議長

眞野議員。

眞野義行

ありがとうございました。
発信する情報が、医療を必要としている人に対応しているかどうかは、今後詳しく検討していく必要がありますが、それにしても、このO君を救う手だては成田市にはないのでしょうか。
ここで、日本最大の湿原と国の特別天然記念物のタンチョウ、そして阿寒湖と特別天然記念物のマリモで有名な釧路市の外国人患者の対応を紹介します。
私からの問合せに、1時間かけて全ての経緯と現状を語ってくれました。
それはすばらしい取組でした。
2013年、人口約16万人の釧路市は、釧路市外国人傷病者対応連絡協議会を設立しました。
市役所関係各所、医師会、歯科医師会、薬剤師会、観光コンベンション協会、3つの運輸会社、アジアからの研修生を受け入れている企業、そして国際交流会と連携を図り、外国人の方々に、仕事でも観光でも安心して釧路市を訪れていただけるようにするためです。
そして、その2年後の2015年には、通訳者登録制度を始めました。
現在では延べ100人の登録があるそうです。
外国人医療問題として最初に上がることは言葉の問題です。
これにより、医療機関ごとの個別対応で医療現場にかかっていた負担が軽減され、外国人たちが安心して就労や生活ができることにつながっているそうです。
翌2016年には、電話医療通訳及びビデオ医療通訳「メディフォン」の導入を決めました。
しかし、当初予算は26万円。
十分なサービスを受けられないことは分かっていましたが、外国人医療問題を解決するためには、とにかくやってみるんだという意気込みで始められたそうです。
すると、その取組が国土交通省北海道運輸局の目にとまり、実証実験対象地域として認定されたのです。
この登録者の方々の中で、希望者にはプロの同時通訳者を講師に招き、テクニック、マナー、災害時対応通訳の研修も行っています。
さらに、多言語化する訪日外国人に対応するために、昨年2020年から、市の職員と在留外国人を対象にした易しい日本語の講習会も始めたそうです。
港町である釧路市の取組は、国や北海道の動向を待たずに、自分たちの都市のさらなる発展を目指して始めたことがすばらしく、空の港まち成田も大いに参考になることではないでしょうか。
新型コロナ終息後は、世界中の人流が劇的に活発になることが予想されています。
留学生や実習生が再び増加することは確実です。
感染症対策を含めた安心・安全な都市であることは、渡航先、就労先、留学先を決定する上で重要な選択肢の一つになることは間違いありません。
そのために、外国人であっても安心して地域の医療機関にかかることができるシステムづくりは急務となると思います。
そこで、私は4つの提案をします。
一つ、通訳人材バンクの設立。
例えば、教育委員会で現在採用している日本語教育補助員及び有償ボランティアの方は22名、対応言語は9か国語。
さらに英語指導補助教員ALTは16か国で45名。
対応言語は、出身国で考えた場合、英語を含めて9か国語。
両者を合わせると、中国語とシンハラ語のかぶりを引いて16か国語に対応できることになります。
雇用形式の問題を考えずに純粋に人材として、教育委員会のみでこれだけいらっしゃいます。
現在、国際交流協会に、通訳ができる方と対応言語についての調査を依頼していますが、この組織にも多くの人材があると思います。
都市ボランティアの方々も十分に対応可能ではないでしょうか。
釧路市の通訳者登録制度のように、成田市独自の人材バンクを設立することは、今後の成田市の発展に大きく寄与することは間違いないと思います。
2つ目、国際医療福祉大学による医療通訳者養成講座の開設。
大学には既に問いかけをしてあります。
同時にJALとANAにも提案しました。
国際交流協会とつながっていく可能性もあります。
3つ目、外国人未払い医療費補填事業の開始。
例えば、公益財団法人東京都福祉保健財団では、「外国人未払医療費補てん事務」を東京都から委託し実施しています。
空港対策特別交付金の一部をNAAと協議して運用することは十分に可能ではないでしょうか。
これもNAAには相談をしています。
可能性の問題ですので、できるかどうかはまた別だと思いますが。
4つ目、外国人医療対策協議会の設置。
医療機関同士の連絡が不十分な上に、NAAや航空会社との連携もなかなかうまく取れていません。
JAL、ANAに確認しましたが、やはり年に一度ぐらいはこういった外国人旅行者の方で容体が急変される方がいると。
ただし、その方に対する未払い金が生じた場合に、一体この未払い金を誰が持つのかということが、空港のどこで救急車を呼ばれたとかその範囲によって、航空会社が一部負担する場合と、受け入れた病院が負担する場合と様々なことがあって、これは非常に微妙な問題をはらんでいきます。
そこに確かな補填の金銭的な補助がないと、恐らく対策協議会を開いても生々しい話が出てきて、うまくまとまらないのではないかというのが、私の聞き取りからの感想でした。
そこで医療費の問題以外でもぜひ必要だと思われるのは、医療通訳に係る関係者が持つ情報を総合的・横断的に共有する場の必要性です。
それは、さきの通訳人材バンク設立とも関連します。
成田市では、既に災害医療対策会議を継続的に行っています。
その会議に訪日外国人医療問題を加えることはとても有効な方法ではないでしょうか。
千客万来で外国人を招き入れ、けがや病気をしたら自己責任だと。
確かにそのとおりで、旅行保険に入っていない訪日外国人が悪いと、それもそのとおりだと思います。
ですが、それを受け入れざるを得ない医療機関に発生している未払い金の問題は、これは一病院だけが対応できることではありません。
国際都市成田に課せられた使命ではないでしょうか。
そういう意味からも、私は外国人医療対策協議会の設置は、国や県の動向を待たずして成田市が積極的に行うべき緊急な課題だと思っています。
住んでよし、訪れてよし、国際空港を抱える成田市は、先ほども言いましたが県や国の動向を待つのではなく積極的にこの問題に取り組み、成田市の安心・安全を日本中に知らしめるべきだと思っています。
最後になりますけれども、今、不法就労者や偽装難民、それから医療費を踏み倒そうとする外国人の問題、これかなり実は日本中で問題にはなっていますが、忘れてならないのは多くの外国人は一生懸命けなげに暮らしているということです。
その多くの真面目に暮らしている外国人の方々がさらに充実した医療、または様々な支援を受けられるためにも、この問題を市としてぜひ検討していただきたいと思っております。
以上で私の一般質問を終わりにします。
ありがとうございました。